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デザートのマナーと知識9

    

デザートのマナーと知識H
◆ケーキ・サバラン

 人の夢を食べるとされている古代中国の霊獣「バク」。夢を食べて生きるなんて一見素敵に見えますね。
しかし、夢は千差万別です。良い夢ばかりではなく、その反対も在るわけですから食して頂けるなら、そんな結構なことはないですね。

 サバラン・・・・そのデザートに初めて会ったのが25年前の箱根プリンスホテル・レストラン「さくら」に勤務していた時代です。当時の私はお酒が一滴も受け付けない体質でした。サバランを口にしたとき「何だかラム酒タップリのお酒臭いデザートだな。。私はこのケーキを永遠に好きになれない。。」酒嫌いの私には、そんな事が印象的でした。

 しかし、お客様からのこのケーキの注文が思いのほか多く、なぜこのケーキが?と、好きと嫌いは、表裏一体・興味をそそりました。それがきっかけでサバランに注目し、その後、食に関する知識の幅を広げさせて頂けることになって行くきっかけになるとは、当時の私には露ぞ知りませんでした。

「サバラン」は、フランスの焼き菓子の一つです。ブリオッシュ(バターと卵を普通のパンよりも多く使ったフランス菓子・クロワッサン同様にウィーンで生まれてフランスで完成されたお菓子)の中でも丸型のブリオッシュの中をくりぬいて果物を詰めます。紅茶味のシロップを染み込ませて冷やし、ラム酒、キルシュワッサーをかけ、生クリームと果物で飾りをつけたお菓子です。たっぷりの洋酒が入っていますので、好みのわかれるケーキかも知れません。

さて、この名前サバラン。ブイア=サバラン「フランスの美食家、食の評論家」からの由来です。食の評価をして最高の名声を得、ケーキの名称にもなる。現在の美食、グルメ時代のパイオニアの様な人でした。書籍に「味覚の生理学」「美味礼賛」はあまりにも有名で、再販を重ねています。1800年代の方が未だに、いや、これから先も語られるでしょう。

彼は語っています。

:禽獣はくらい、人間は食べる。教養ある人にして初めて食べ方をしる。

:国民の盛衰はその食べ方いかんによる。

:どんなものを食べているのか言ってみたまえ。君がどんな人間であるかをいいあててみせよう。

:生命がなければ宇宙もない、そして生きとし生けるものはみな養いをとる。

食器と美食に見識と意識を深めた日本人に、北大路魯山人がいます。西にブイア=サバラン。東に北大路魯山人。はたしてこの人たちを超える世界感を持った人が現れるのはいつの事になるのでしょう!サバランと言うケーキから食に関する知識、見識を頂いた25年前を記載をしていて再び感じさせて頂きました。

人の夢を食べて生きる古代中国の霊獣「バク」。超えられるとしたらこの霊獣「バク」をしていないのではないでしょうか

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