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デザートのマナーと知識A
◆デザートの女王、クレープシュゼット

 起承転結(きしょうてんけつ)。物語や文章を構成するには、この言葉が基本です。ただ単に長いだけで、喜怒哀楽の落差が少ないドラマや小説は、感動を生みません。そこには、起承転結が必要になって初めて人の心を打つ物語や、文章になって行きます。

さて、どんなものでもプロとアマチュアには差が有ります。この微妙でいて大きな差は、この使い方が上手く使えるか、使えないかにあるような気がします。それは、食事の物語にも言える様です。前菜の前の前菜(アミューズ)からオードブル、スープ、魚料理、お口直し(グラニテ)、肉料理、サラダ、チーズ、そしてデザートと、フルコースの料理は、ドラマや小説、短歌や俳句の組み立てと同じく、表現する中に起承転結を考え、一つのストーリー立てとします。最後の締めの部分において、事のほか重要になると考えたデザートは、完璧なフィニッシュとしての意味合いを含め、パフォーマンスとしての芸術性、食の歴史を感じさせる、そんなデザートでなければなりません。そう考えたとき真っ先に頭に浮かぶのがこのデザートです。ご紹介いたします。クレープシュゼットです・・・

お客様のテーブルの前に、キリッシュ・クアントロー・ブランデー・グランマニエなど綺麗にお酒を飾ったバーワゴンと共に、これからデザート料理の仕上げに使うフランベワゴンが置かれます。タキシードを着こなしたサービスマンが、まっ白なナプキンでオレンジを包むようにします。右手には角砂糖を持ち、そのオレンジにこすりつけます。オレンジの香りを角砂糖につける作業が ことのほか、神秘的に見えます。

流れる様にオレンジの上部をスライスします。そのオレンジの下部にフオークを刺し、目の位置より高く掲げます。そのレストランに来店されている全てのお客様の目が彼を見つめます。右手にはナイフを持ちオレンジの皮をスパイラルに、魔法の様な手さばきで切り始めました。突然メインダイニングのグランドピアノから軽快な音楽が流れます。そのオレンジを持ったサービスマンは、軽快なリズムに合わせてステップを踏みます。取っておきのデザートのショーが始まりました。貴方は見たことがありますか!?フレンチレストランのデザートの女王「クレープシュゼットのショータイム」を。

オレンジソースから作り始め、熱したシュゼットパン(フライパン)に角砂糖を入れ、砂糖が溶けてきたら無塩バターを入れ、バターと砂糖がベストな状態で溶け合うのを待ちフレッシュ・オレンジジュースを加えます。程よく熱したらクレープを2つにたたみフライパンに入れ軽く煮込み、グランマニエ(オレンジで出来たリキュール)を入れ、最後にブランデーで炎の演出、香りや甘味は、大人の夕食の最後を締めくくる、取って置きのデザートです。

このデザートを召し上がりたいためにレストランに足を運ばれる方が今も昔も後を絶ちません。これぞ華麗なフレンチのデザート。貴方から足を運ばないと、このデザートだけは出会えません!起承転結。さあ 感動を味わって下さい。

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