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デザートのマナーと知識10

    

デザートのマナーと知識I
◆ブッシュ・ド・ノエル

先日、テレビのドキュメンタリー番組「泣きながら生きる」を観ました。中国の家族3人の物語。夫婦が娘の夢を叶えてやるために、夫は日本で15年間不法残留のまま働き続けた。

娘の念願が叶い、アメリカで医者になった時点で夫が妻のもとに帰るというノンフィクション番組でした。両親は充分な教育を受けられなかった自分達を悲観せず生き、しかし、教育の大事さを理解していた。自分の運命を嘆く事なく、宿命を嘆くことなく、そして、寂しさを嘆く事となく、悲しさを力に変えて生き、涙と共に生きる意味を娘に伝えた。自分達の命を削って娘に伝えたもの・・・

こんなに悲しくて、しかも力強いTVを観たことはありませんでした。ただただ感動しました。

 さて、人に伝えたい力強いものが毎年、秋から冬にかけフランスから入ってきます。毎年11月の第三木曜日に日本にやって来るワインが、「ボジョレー・ヌーボー」です。フランスはリオン市から1時間程の地、ボジョレー地方のワインです。仕込からわずか2ヵ月程で発売されるもので、ブドウは「ガメイ」種のみの使用と法律で決まっています。「ボジョレー」、「ボジョレー・ビラージュ」という銘柄の新酒だけ「ボジョレー・ヌーボー」と、その名を名乗ることが出来ます。決して高価なワインではなく、気軽に飲めるお祭りワインですが、キッチリとした決め事に守られたワインです。だからこそ、安心感と共に、これだけ世界的に広まったのではないでしょうか。ワインのコクや、渋みに力強さを感じるのではなく、決して派手さを感じさせていないが、フランスの国を上げての食文化に対する姿勢に感銘を受けます。

 また、12月に入ればクリスマスのお祭りが間もなくです。このクリスマスを心から祝ったケーキもフランスから入ってきました。「ブッシュ・ド・ノエル」です。フランス語で「ブッシュ」は薪(まき)、「ノエル」はクリスマスを意味します。その名の通り「クリスマスの薪」です。なぜ、キリストの誕生日にこのケーキが出てくるのか・・・。これには幾つかの説があります。

かつて北欧では、樫の木の薪を暖炉に燃やすと一年中無病息災で暮らせるという神話から来た説や、厄除けの意味から薪の灰を例えて縁起とした説。恋人に高価な品物は買えないが、せめてクリスマスの日に、薪の一束をプレゼントとして贈ったなどなど。心と体を温める薪が本当に大事に扱われていました。そして、その薪は、神からのプレゼントとして代弁したケーキだったからなのだと、私個人は解釈しています。

 日本人はこう云います。「なぜ唐突に12月25日だけキリスト教の信者になるのか、無宗教の鏡の様だと・・・」。そうでしょうか?これだけ西洋文化を受け入れ、発展した国は他にないのではないでしょうか。どの宗教を越えても子供達に夢を与えて発展したクリスマスは、涙と共に生きる意味を娘に伝え、自分達の命を削って娘に伝えたテレビのドキュメンタリー番組「泣きながら生きる」同様な根幹を問わず、語っているのではないでしょうか。勿論、西洋のテーブルマナーもそれに含まれていると理解しています。「ブッシュ・ド・ノエル」のケーキから様々な意味が学べました。

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