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マラソン体験記
蛭間淳一

 

駒ヶ根高原
かすみがうら
東京マラソン

 

感動の「かすみがうらマラソン」を走って   2007.4.15
 今年も4月に行われた茨城県「かすみがうらマラソン」に参加しました。3月に行われた荒川市民マラソンに参加した直後のことでした。

 この大会では毎年感心させられます。2,5キロごとにエイドステーションがあり、主催者の”走る人の気持ちに立った目線”に感心させられます。人の愛情を思う存分頂ける、アットホームな環境がランナーに勇気を与えてくれます。

 序盤の20キロ地点までは、市民の愛情溢れる踊りや太鼓の音に自然と体が前に進みます。沿道からの声援は「行ってらっしゃい」です。何とも気持ちのこもった言葉に感じ入ります。25キロ過ぎからは、民家と民家の間の道を長く走る事になります。

立派な鯉のぼりが庭に掲げられ、古くからの農家、屋敷が非常に多く、その家々の人達が私設のエイドステーションを軒先で振舞ってくれます。お茶を配ったり、梅干を配ったり、少し先ではおにぎりや、オレンジを配ってくれます。14000人以上の参加人数に答えるように彼らは、いったい、朝、何時からこのおにぎりを握り始めたのだろうか?疲れている体に優しさが身にしみて感じます。一箇所二箇所ならまだしも、何十箇所にも及ぶボランティアの軽食、ランナーの体が欲しがる水分、塩分、糖分、ブドウ糖・・・走りながら食べられる工夫も考えての軽食でした。

 走っていても次には何が出てくるのか楽しみになる程です。昨年度も参加させていただき、このやさしさに誘われて、また今年も参加となった訳です。地元の方々は毎年の恒例行事になり、当たり前にボランティアとしているのでしょうが、失われた優しさが跋扈(ばっこ)している今、より新鮮さを感じさせてくれます。遠くには、霞ヶ浦、そして田園風景も堪能出来、そんな景色もエネルギーに変えてくれます。又、この大会は、盲人の方も走ります。ボランティアの伴走ランナーが誘導し、一緒に走ります。毎年恒例の様にゲストの伴走ランナーには、有森裕子さんが元気に参加して素敵な笑顔を振りまいていました。

 さて、今回のフルマラソンで個人的におかしな現象が起きました。何時ものマラソン時には25キロ地点からジワジワと体力が落ちる現象が出てきます。俗に言うフルマラソンの「潰れる」現象です。ですが、今回、そこから体が馴染んできました。自分でもビックリし、スピードを上げることができ、驚きの42,195キロになりました。走りながら、これが「ランニングハイ」なのか?それとも、沿道の食事補給が上手くいったのか?は定かではありません。

 ラスト1キロ地点の沿道からは声援が変わってきます。もう直ぐゴールだ、頑張れ!そして「お帰りなさい」の声援を頂き、砕けかけている自分の気持ちが、最後の勇気を持ってゴール地点へと向かわせます。大きな声援と涙が出そうな程の感動を味わいながら、あと少し、もう少し、そして、ゴールにたどり着きました。

 もし、感動の幅が距離と苦痛の裏返しならば、間違いなくフルマラソンは長く苦痛の連続です。しかし、苦しんだ分だけの達成感は言葉に表せない程、自分自身を酔わせます。おそらくそれが、フルマラソンを走る市民ランナーの気持ちです。そして、なにより「優しさの醍醐味」を間違いなく教えてくれたマラソン大会でした。

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