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肉料理のマナーと知識12

    

肉料理のマナーと知識K

ラ・パン(Lapin)うさぎ料理について

 常に前を向いて物事を考える言葉が{ポジティブ}・・好感度の高い言葉で好きです。逆に、物事を悲観的に考える時に使用する言葉が{ネガティブ}。英語に直すと、落ち込みの度合いも軽く感じるから不思議です。

{勝ち組、負け組}・・はっきりと区別する時に振り分け用語に使用する言葉です。勝負とは違う、別のニュアンスが排他的でどうも好きになれない言葉です。シーズンより四季と言われたほうが納得できます。新作より古典が好きです。月のクレーターより月のうさぎが好きです。オーケストラも好きですが、お囃子も好きです。芥川賞より直木賞が好きです。アル・パチーノよりロバート・デ・ニーロが好きです。エピローグよりエンデイングロールが好きです。テレビの時間よりラジオの時間が好きです。合理的でも非合法は嫌いです。礼儀知らずよりマナーが好きです。

 人はそれぞれ受け止める価値観や認識が違うからこそ、少数より多数の意見を尊重基準とし、ルールやマナー、プロトコル(国際儀礼)とします。

 さて、料理の価値観や認識をどう受け止めるかについて、箱根プリンスホテルに勤務していた時代にこんな事がありました。

「キャー、可愛い〜」と言う女性の大きな声がフレンチレストラン「ル・トリアノン」の調理場の角から聞こえてきました。メインダイニングの厳粛としたキッチンよりポップなコーヒーハウスのキッチンでもタブーの基準を超えた言葉でした。ホテル専門学校研修生の女性の声が、籠の中の三匹のうさぎに目を捕らわれていたのが判りました。彼女達は勉強途中の素人の学生です。調理食材のうさぎを「これは、美味そうなラ・パン(うさぎ)」と話し出す玄人より、無垢がゆえに条件反射で出てきた可愛いと言う言葉に、素直に微笑みました。しかし、ディナータイムに空になった籠の中のラ・パン(うさぎ)の行方を説明するのが少し怖かったことを思い出します。

西欧料理が日本国中、角から角までこれだけ普及した時代なのにラ・パン(うさぎ)料理が今一つ日本で認識して頂けないのが残念です。きっと西欧人が鯛の姿造りを見て10人が10人嫌悪感を抱くのと共通の心理かもしれません。 しかし、食の認識は、一度トライしてみて変わる事は往々にしてあります。鶏の胸肉のようで蛋白で脂肪分が少ない肉質は、癖がありません。煮込み料理でもソテーにしても評価は高く、試してみれば食の思い違いに気付くはずです。フランス料理のコースメニューをMUNU ・DEGUSTATIO(ムニュ・デグスタション)お試しメニューと表現するレストランが多いのも、認識の違いを一致させたいが為の現れなのかもしれません。

オンリーワンも好きですが、ナンバーワンも嫌いでは有りません。食欲は有るほうですが、貪欲ではありません。牛肉が好きですが、ミルクが飲めません。フォワグラは好きですが、自分が脂肪肝になるのはごめんです。小春日よりも好きですが、小雨模様も好きです。音楽は好きですが、ミュージカルは苦手です。グローバルスタンダードと言われるより、世界標準の言葉が好きです。食わず嫌いより、お試し有れと言う言葉が好きです。パンも好きですが、ラ・パンも好きです。

「ラ・パン」・・・ 一度食してみては、いかがでしょうか。

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